注文と決済

ビットコインなどのネットを介した「現金を使わない決済」は、いまだ現金決済ほど気軽なものではありません。しかし、現金が介在しないことのメリットが多くあることもまた事実です。そして、IT技術の進化により、そのメリットは「ネットの外」にまで広がりつつあります。特に、2013年以降に注目を集めているのが、スマートフォンやタブレットをクレジットカード決済端末として使うシステムです。アメリカのベンチャー企業は、コインほどの大きさの「Squareリーダー」と呼ばれる、超小型カードリーダーを開発しました。これを差し込むと、ふだん使っているスマートフォンやタブレットで、どこでもクレジットカード決済が可能になります。このシステムを導入することで店舗の姿は大きく変わります。

注文と決済は、店員が持ち歩くタブレットでおこないます。紙のメニューの代わりにタブレットをみて注文し、決済時も小型カードリーダーにクレジットカードを通して完了です。タブレットからインターネットに接続してカード決済を完了させるため、巨大なレジスターは必要ありません。しかし、決済手段としてはクレジットカード決済に他ならないため、決済速度や安全性はクレジットカードとまったく同じです。結果として、店舗を始めるために必要な事務機材コストは激減します。実際のところ、机ひとつ・店員ひとりで商売が可能であり、フリーマーケットへの出店に使っているところも少なくありません。また、注文や売り上げはすべて自動的に集計されますから、日々の事務処理の手間も劇的に小さくなります。

取引のたびに、クレジットカード会社との間で決済手数料が発生しますが、口座やシステムの維持にコストはかかりません。カードリーダーも、申し込めば無料で手に入れることができますから、イニシャルコストはほとんどないと考えていいでしょう。同様の小規模決済システムはいくつか登場しています。それだけ、小規模店舗ビジネスの「決済」が注目を集めているのです。

現金は確かに手軽に受け渡せます。しかし、どれだけ収入があってどれだけ支払ったのか、ということを確認する手間が大変です。決済をIT化すれば、機材や事務のコストを減らすことができるため、ビジネス総体の効率は上がります。消費者側にもメリットはあります。電子マネーを使い慣れると、現金、特に小銭を、いちいち財布から出して支払うのが面倒になります。交通決済を中心とした電子マネ-の利用では、日本がもっとも先進的な環境にあります。海外でも携帯電話などに搭載しようという動きがありますが、決済スピードや信頼性の問題で、日本のものほどすぐに普及する環境にはありません。